エシカルなインテリアの実践2025 「エシカルインテリアの実践における現場と情報発信に関する現状と可能性」
- kameda44
- 2025年12月11日
- 読了時間: 7分
JAPANTEX2025インテリアセミナー&トークセッション
2025年11月20日、ビックサイト南館で開催された「JAPNTEX25・インテリアセミナー」にて、<エシカルなインテリアの実践2025>“エシカルインテリアの実践における現場と情報発信に関する現状と可能性“と題してトークセッションが行われた。
<エシカルなインテリアの実践2025>
インテリア業界はどのように変化しているのか?サステナブルその先は何なのか?

パネリストして、カリモク家具株式会社 副社長 加藤信氏、株式会社川島織物セルコン 営業開発本部市場開拓部 部長 岩永貴博氏、建材ナビ事務局 広報 秋葉早紀氏の三人を迎えて、それぞれの立場で「エシカルインテリア」の今と未来についてのトークセッションが行われた。進行は、IDMエシカルなインテリ研究会の冨田恵子、亀田一幸。
冨田氏の「エシカルなインテリア」の基本概念の簡単な説明、各パネリストのサステナビリティについての現況報告。登壇者によるディスカッションの3部構成で開催された。
~カリモク家具株式会社 エシカルなインテリアの実践2025~
<「ハイテク&ハイタッチ」の取り組み>

カリモク家具の加藤信氏は、1940年創業以来「木」の素材へのこだわり、寄り添ってきた思いを語った。木を扱う企業として森林・自然環境の持続可能性を踏まえた事業活動を行っていたが、環境と社会にとってプラスと、マイナスの影響の可能性に気づき、積極的に解決すべき社会課題を整理。多岐にわたる改革を実施、過去の常識を打破して新価値創造に挑んでいる。
■「ハイテク & ハイタッチ」
“ハイテク”を使い、データ管理で素材を無駄なく使い、特に大規模で高度な生産設備の技術と人間にしかできない職人の技を融合させることがテーマになっている。
データ管理で素材を無駄なく有効に使う“木取”のハイテク技術。木材はバーコードで管理され、樹種、生産地、伐採時期、大きさ、厚み、色味のなどの情報が紐づかれている。皮革素材は大きさ、色味の基本情報からシワ、ダメージなどもスキャンされデータ化されて、最も効率よく配置され裁断される。
創立から78年間で培われてきた技術者の丁寧な仕上げは、カリモクの高品質な家具には欠かせない。「ハイタッチ」と呼ばれるこの工程は、自然素材を使う家具だからこそ、標準的な作業だけでは対応できない部分を補う役割を担っている。若手からベテランまで優れた技能士や職人が目や手の感覚で、それぞれの個性を見極めて生かすことを大切にしている。ハイテクとハイタッチを融合させることで、良質な家具を適正価格で市場へ届けることを可能にしている。
■新たなサステナブル戦略
エシカル消費を新しい消費動向として重視、木材や未利用材の資源を有効利用することがビジネスチャンスにつながると、家具以外のアップサイクルにも新しい展開をしている。製造過程で発生する端材をつかった資生堂の化粧品BUMのパッケージ、三菱鉛筆の多機能ペン「ジェットストリーム」の木製グリップなど身近なものにアップサイクルされている。
家具の修理はサービス工場で専任スタッフが対応、また、メンテナンスカーが自宅の近くで出向き修理、工場に戻さないことでエネルギーを削減など、持続可能な社会の実現に取り組んでいる。
~川島セルコン株式会社 エシカルなインテリアの実践2025~
<廃環境負荷低減への取り組み>

川島織物セルコンの岩永氏の講演は、展示会場に使われている床材タイルカーペットの話から始まった。展示場での床材、タイルカーペットの廃材は年々多く出るようになるだろう。国内廃プラスチック総排出量は200万トン、処理は焼却時の熱エネルギーを回収してサーマルサイクルが63%(*焼却時の熱エネルギーを回収して発電や熱源として再利用するリサイクル法)、ケミカル処理は24%(*廃プラスチックなどを科学原料に戻し再利用するリサイクル)、と日本の現況を話された。
■廃床材リサイクル循環システムの構築 e-RESYCLED
川島織物セルコンは、製造現場での省エネや廃棄物削減、サプライチェーン全体でのCO2削減、さらに地域社会や教育活動への貢献まで幅広く環境負荷低減に積極的に取り組んでいる。
2003年に業界ではじめて「e-RECYCLED」を構築し、現場から回収されるタイルカーペットを埋め立て処理せずに、タイルカーペットやビニル床タイルの原料として再利用するシステムを構築。2010年3月には、川島織物セルコンが初めて広域認定(産業廃棄物広域認定制度)を取得し、自社製品を全国的に回収・リサイクルできる仕組みを確立した。しかしいまだ80%は埋め立てを中心とした最終処理されているのが現実という。100%リサイクル促進を目指して、関連企業に呼び掛けている。
パッキング材も使用済みタイルカーペットの廃材を使用することでCO2の削減にも貢献。海洋に廃棄された漁網や繊維くずから再生されたリサイクル100%ナイロン「ECONYL(エコニール)」リサイクル糸の使用など、様々の環境負荷低減に積極的に取り組み、2030年までの温室効果ガス削減目標を掲げ、国際的な「SBTi」の認定を受けている。
初頭でちょっとだけ話された、川島織物の182年と歴史と関西万博の非公開タペストリーが公開された。伝統技術と現代アートの融合は、伝統的織物技術をまもりながら、未来に向けて環境責任を果たす、世界に誇るもうひとつ姿として見えた。
~建材ナビ エシカルなインテリアの実践2025~
<デジタル効率化で建材情報を集約>

建材ホーム広報の秋葉氏は、Kenzai-Naviとは「建材メーカー」と「建材を探す設計士・工務店・施工業者」をつなぐ検索プラットホームと紹介。最近のサステナブルな製品についての問い合わせの動向やサステナブル建材の紹介、また持続可能な社会に向けて高い意識をもつ建築家やデザイナーを紹介していると述べた。
建材ナビは「建材メーカー」と「設計士・工務店・施工業者」をつなぐ検索プラットフォームビジネスであり、情報提供・比較検討・商談促進を実践的に支える役割もある。必要な建材をカテゴリ別で検索、動画チャンネルで施工事例を確認、現場での使い勝手を把握してから、資料請求・サンプル取り寄せで比較検討をするのが効率的である。800社以上・15,000点以上の建材が掲載されており、カテゴリや用途別に検索できるため、設計士や施工業者が必要な建材を短時間で探せるシステム。エシカル建材の検索をしてみたが、情報量は多いが、整理が必要に思われた。
■セカンドナビ
「かたなび」:PDF/デジタルカタログ専門サイト
「建材ナビジャーナル(冊子 or WEB)」:各協会の理事や著名人のインタビュー記事
「すまいリビング」:設計士、建材メーカーのインタビュー、建材に関するコラム
エシカルなインテリアの実践2025
~ Discoussion キーワード ~
<短い時間だが、エシカルに関する思いを語り合った。その一部をキーワードとして>
・売るだけではなく、メンテナンスを大切にしている。修理が当たり前の時代になり、信頼にもつながる。
・安いものにも、高いものにも訳がある。
・2003年からリサイクルが注目され、好感度のイメージが定着。カタログが通常商品の1.5倍になった。
・時代がやっと来た。営業の切り口になる。
・従来の3Rからサーキュラーエコノミー(循環型経済)が主流になる。選定の基準になる。
・消費者の目線がエシカルに、関連商品を求めるようになる。情報の発信が必要。
・石油由来の製品、作る責任を理解してほしい。
・リサイクル商品を作るだけではダメ。排出量などの数字が求められる。
・製品に対する想いを伝えていきたい。
・物のデザインから、ことのデザインが主流になっていく。
・エシカルのテーマをもっと深く議論したい。
最後に
セミナー会場に置かれた小さなサインボードが、JAPANTEX2025の象徴ともいえるし、未来をしっかり捉えたトレンド、持続可能な社会をつくるための小さな一歩と思えた。

参考資料
カリモク家具株式会社 https://www.karimoku.co.jp/
株式会社川島織物セルコン https://www.kawashimaselkon.co.jp/
取材:kanno
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